大仏でかすぎ。
思わず息を飲むこのでかさ。
天井の高いこの大仏殿の中にドロロンチョとそびえている。
上の方が暗くなっており、間口から入り込む明かりでぼんやりと照らされている。
須弥壇も後ろの光背も歴史が染みついていて、すごく特別な空間だ。
人間の信仰が渦巻いている。
驚いたのはアジア系の観光客たちの行動。
欧米人たちはまぁ写真撮って終わりなんだけど、アジア系の人たちはやはりキチンと手を合わせてお祈りする人が多い。
敬虔な仏教徒たちにいたっては、地面に膝をついて土下座の形で何度も頭を下げたりしている。
日本人観光客が欧米の教会に行き、祈りを捧げる白人たちの横で写真撮って終わりっていう状況の逆がここにはある。
世界には色んな宗教がある。
信仰は自由だ。
こうしなければいけない、と信仰を押しつける宗教は邪教ですと言っていたお坊さんの言葉は今もはっきり覚えている。
ていうか茨城県の牛久大仏の手の平にこの奈良の大仏が乗るというから牛久大仏マジやべぇ。
この指を見てあなたが何を思ったか。
僕にはわかりますよ………ふふふ…………
大仏の後ろに回ってぐるっと一周すると、人だかりの出来てる場所がある。
そう、奈良の大仏参りのハイライトといえば、この場所です。
スカルファックの真似じゃないですよ。
柱にあいた穴をくぐるという遊びです。
これ、なんと奈良の大仏の鼻の穴の大きさと同じサイズの穴になっているらしく、参拝客用のアトラクションです。
かなり小さな穴のようで、子供だったらスルスルいけるんですが大人だとギリギリです。
前に来た時に俺も挑戦しようかなと思ったんだけど、まぁ中国人観光客の団体たちが恐ろしいくらい空気を読まずに何度も何度も繰り返しやって占領しており諦めました。
だいたい世界中のどこの観光地でも中国人は空気を読まずに場所を占領します。
行儀よく写真を撮ったりしてると、そのカメラの前にヌゥっと頭を突っ込んできてガヤガヤ騒ぎながら大撮影です。
人が写真撮ってる画角に入らないようになんて気遣いまったくしません。
超ムカつきます。
なので今回もそうなのかなと思っていたんだけど、さすがに寺側も配慮しており、柱の後ろに並ぶための仕切りが置かれており、1人1回までです、とかって看板が貼ってあった。
おかげでみんなちゃんと従っており、スイスイ列も進んでチャレンジすることができた。
カンちゃん成功。
じゃあ俺も!!
せ、狭い!!
閉所恐怖症の人には無理です。
マジギリギリでした。
太ってて挟まったらいい笑い者だな…………
昔、神様がこの奈良の地に来るときに鹿に乗ってやってきたことから鹿は神様の使いと言われている。
なので鹿を傷つけたり殺したりしたら厳しい刑罰があったらしい。
昔、子供が間違って鹿を殺してしまったことがあったらしいんだけど、その子供、鹿と一緒に生き埋めにされたそうです。
ひ、ひでぇ………
そんなエピソード知ってしまったら、セント君がもうなんかそんな風にしか見えんわ(´Д` )
奈良にはもっともっとたくさんの名刹があるし、この奈良公園の周辺にも志賀直哉の旧宅があったりと散策し甲斐のあるエリアになっているんだけど、時間がなくて今回はここまで。
なんか話では奈良公園はつまんないからサラッと回ればOKみたいなここが書かれてる欧米人向けのガイドブックもあるみたいだけど、そんなことはない。
東大寺、若草山、を中心とした古都奈良はもっともっと奥深い顔を持っている。
一大観光地ではあるけども、歴史に想いを馳せながら歩けば、ただの裏路地でさえ豊かな人間の香りをかぐことができる。
柿食えば鐘がなるなる法隆寺。
奈良を知れば知るほど、このなんてことない俳句が味わい深くなるんだよなぁ。
またゆっくり来よう!!
さて、奈良を後にして大阪に戻ってきた。
今日は金曜。路上やるぞ。
実は大阪ではあんまり路上をやったことがない。
駅前とかでアンプ使ってバンバンやってるやつらはたまにいるんだけど、俺がやってる路上はそういうのじゃない。
レトロな飲み屋街の流し路上だ。
どこかいい飲み屋街はないかなぁと色々探して前回は裏難波のアーケードでやったんだけど、あんまり反応は良くなかった。
もっと雰囲気のいいところでやりたいんだけど、なかなか見つけられないんだよなぁ。
とりあえず久しぶりだし、思い切って本丸でやってみるか。
大阪で1番の飲み屋街といえば曽根崎新地。
いわゆる、北新地だ。
東京でいう銀座にあたるこの北新地は高級クラブがひしめくお金持ちたちの飲み屋街だ。
少し梅田の駅方面に行くと東通りという飲み屋街もある。
そこはサラリーマンたちの飲み屋街。新橋に当てはまるのかな。
ここがキタエリアなんだけど、ミナミエリアの飲み屋街は宗右衛門町。歌舞伎町だ。
心斎橋から御堂筋を挟んだ反対側に広がるアメ村が六本木といったところ。
主だった飲み屋街はそんなところだけど、今夜は北新地でかましてやろう。
銀座で路上はやったことないけど、ひょっとしてすごい出会いがあるかもしれない。
綺麗なスーツを着込んだビジネスマン、ただならぬオーラをまとった白ヒゲのおじさんなんかがとんでもない美人を連れて颯爽と同伴前のディナーのひとときを楽しんでいる北新地を歩き回って路上ポジションを探す。
金曜日の夜ということで人出は半端じゃないことになっている。
呼び込みの黒服さんたちが路上に溢れ、さらにフルーツ屋さんなんかの露店も多く出ている。
並んでる高級そうなフルーツを見てみたら、ブドウ一房が5000円って書いてある。
そのブドウをクラブの女の子に差し入れするんだったら俺のギターケースに入れてもらいたいと切に願う。
しかしグルグルと何度歩いて見て回っても、路上できそうな場所がない。
人がめちゃくちゃ多いし、呼び込みさんが多すぎてやりにくい。
やっと隙間があったかと思えばフルーツ屋さんが陣取っている。
うぬー………こいつはなかなか厳しいな…………
それからも歩き回り、なんとかギリギリやれそうな場所を発見。
もうここでやってみるかと強引に演奏開始。
通り過ぎる人たちが一緒に歌を口ずさんだり、チラッとこっちを見て通り過ぎていく。
悪い反応ではない。
この雰囲気ならもう少ししたら足を止めてくれるはず。
というところで目の前のお店から店員さんが出てきて止められてしまった。
店の中まで聞こえてきて困る、とのこと。
すぐに場所を変えてもう一回チャレンジ。
しかし2曲目で呼び込みの女の子が出てきて、俺の目の前で呼び込みを始めた。
こいつはやりづらい…………
ギターを置いた。
北新地、難しいなぁ。
どっかにいいポイントがあるかもしれないけど、逆に週末は賑わいすぎてダメなのかもしれない。
んー…………明日はもうちょっと庶民的なところを攻めてみるか。