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Channel: 金丸文武 3年で出来ること
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常磐炭鉱の長屋の名残りがあった

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さてさて、伝説の食堂を後にしたら、そのまま歩いて内郷地区の奥地へと歩いていく。


団地のアパートが並び、ここだけでも昭和の空気に懐かしさを覚える風景だ。



宮沢団地という場所で、ここから先には森が広がるだけのようなのだが………



向こうの方に何かが見えた。





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こ、これは…………


炭鉱長屋だ。









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そこには時代の止まった常磐炭鉱の跡があった。








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ほとんどが長い年月の中で崩れ、雑草に覆われて朽ち果てようとしていた。


かろうじて原型をとどめている長屋も、中を覗くとボロボロに荒れ果てており、人が住んでいる様子はまったくなかった。





長屋は5棟ほど残っていたのだが、その中央にトイレがあった。



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共同トイレだ。

ドアには数字がふってあり、秩序を持って使われていたことがうかがえる。


もちろんぼっとん便所になっており、田舎の婆ちゃんの家に里帰りをした時のことを思い出した。


寒い夜、布団の中で目を覚ましてトイレに行きたくなる。


寒くてただでさえ布団から出たくないのにトイレは外。

しかも森の中の静寂の夜。


怖くてお母さんを起こしてトイレまで付いてきてもらっていたよなぁ。


きっとここでも、そんなことが日常的に起きていたんだろうな。




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古いものを見ることは自分の中の思い出を掘り起こし、今の自分を再確認する作業なんだけど、それよりもそこで暮らしていた人の匂いを吸い込んだ時に感じる儚さ、時の過ぎ去った様子にもののあわれをかんじるサビの感情は、言葉にできない快楽だ。

俺って変かなぁ。


心が動く瞬間を大事にしてたい。


常磐炭鉱、歴史巡り、大満足だ。




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それから少し白水阿弥陀堂の周りを散歩してからいわきの町に戻ると、なにやら駅前でイベントが開催されていた。


あ、話には聞いていたけどこれが街角コンサートか。





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この土曜・日曜にいわきで開催される街角コンサート。

駅前広場や銀行の駐車場、デパートの入り口など、市内の15ヶ所で同時にミュージシャンたちがライブを繰り広げるという、町をあげての一大イベントだ。

それぞれのステージで10組以上がライブをするので2日合わせたら300組くらいのミュージシャンがこのいわきに集結する。


もちろんいわきだけじゃなく、県内外からアーティストがやってきているようで、すでに駅前広場では食べ物の屋台や子供用のアトラクションなど、ささやかながらワクワクしてくるような催しがスタートしていた。







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ステージでは地元のエルビスプレスリーのコピーバンドがカッコいいロックンロールでスイングしている。

おじさんたちが楽しそうに演奏しており、客席からおじさんたちの仲間であろう人たちから名前を呼ぶ声が飛び交っている。


きっと職場の同僚とか、先輩とか、そんな人たちがこの日のために練習してきたんだろう。


たまらなく微笑ましくて、町の中を歩き回って散らばっているステージを探し出してはたくさんの演奏を聞いて回った。





















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夜になり、お世話になっているうどん屋さんでカレーラーメンを食べた。

どのメニューもほとんど1000円を超えるというさすがの復興景気値段だけど、味はめちゃ美味しい。



土曜日のネオン街は一段とたくさんの人で溢れており、警察の巡回まで出ていた。

土曜日に街角コンサートがあるというのは聞いていたので、俺もその一員みたいになってしまって稼げなかったらどうしようと少し不安だったんだけど、そんな心配はひとつもいらなかった。


たくさんの人たちが聞いてくれ、お酒をご馳走してくれ、差し入れがドンドン持ってこられた。


お店の女の人も、居酒屋の大将たちも、みんな優しく迎えてくれた。


警察が巡回してきては、怒るのではなくて、何か危ないことはない?なにあったらすぐに言ってね、と頼もしく笑ってくれる。








かつて首都圏から1番近い炭鉱として繁栄したいわき。


炭鉱がなくなってから、人々はいわきを元気づけるためにハワイアンセンターを作った。


しかし不景気の波で産業のない地方はドンドン廃れ、漁業も衰退し、町は閑古鳥が鳴いていた。

飲み屋街の古株たちはみんな口を揃えて言っていた。

あの頃はよかった、炭鉱があるときは町はものすごい賑わいで、肩が触れ合うくらいたくさんの人が歩いていたそうだ。








それが震災が起きてからというもの、いわきはその頃の活気を取り戻した。

津波で破壊された地域の復興工事、そして原発に関連する様々な仕事の前線基地として日本中から作業員が大挙している。

それはさながら仕事をもとめて人がよし寄せてきていた炭鉱全盛期のころのようだ。



店は大繁盛。

物価は上がり、2011年からまだまだ景気は続いている。

仙台や石巻のように、津波の被害だけですでに復興工事が落ち着いた場所と違い、いわきはこれからも人がたくさんやってくるだろう。


それはもちろん、原発があるからだ。


二度目のゴールドラッシュがまさかこんな悲劇の上にあるなんて皮肉もいいとこだ。









そこでいわきの放射線量はどうなのか?と少し疑問に思う。

最前線基地ならば、かなりの線量があるんじゃないだろうか。


しかし不思議なことに、いわきの線量は低いらしい。


風が下から上に向かって吹く地形らしく、いわきよりも内陸の郡山や福島市のほうがよほど線量は高いというのが現状らしい。








だとしても、やはり不安は拭えない。

これから数年後どうなるかなんてわからない。


でも人々はここで笑顔で暮らしているんだよなぁ。


大丈夫大丈夫、と軽く見ているのか。

突発的なものじゃないから鈍感になってしまっているのか。


でも、それも含めて人間だよな。




俺はいわきが大好きだ。



また必ずここに来よう。






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