2015年8月9日(日曜日)
【青森県】 三沢 ~ 三戸
寒すぎて眠れない。
いや、気温が低いわけではない。
でも寝袋もなんもなしではさすがに寒くてたまらない。
そうやってうつらうつらしながら時折目を開けると、朝がどんどん明るくなっていく。
朝もやに包まれた森の中は色んな動物の鳴き声がして、グアテマラのティカル遺跡の朝を思い出した。
木の幹を何かの動物が走っていく。
幻想の森の底で横たわる僕の体がコケにまみれるのはいつだろう。
やがて太陽が昇り、光が森にさしこむと、朝もやはかき消されていった。
2日連続でほとんど寝ていない体。
しんどいけど、まぁそろそろ動くか。
今週はお盆だ。
お盆は僕みたいなストリートミュージシャンにとって稼ぎどきとなる。
里帰りをする人たちが懐かしい仲間たちと地元の人飲み屋街に繰り出すので地方都市は活気が出る。
そのためこの週をどこの町で歌うか場所選びはとても重要だ。
これから弘前に抜け、秋田あたりで週末を迎えられたらいいだろう。
これがベストのルート。
のはずだったんだけど………
天気予報を見ると、今週いっぱい東北全域ずっと雨だというではないか。
なめてんのか!!!
歌えない、野宿もきつい、ヒッチハイクもつらい。
このまま雨が降り出したらえらい目に遭う。
しかも1週間も…………
あぁ、今こそ車があればなぁ。
もう手続きは終わっているので、東京に戻れば車に乗れる。
どうしようかなぁ。
秋田、どうしようかなぁ。
山形、どうしようかなぁ。
新しく出会える楽しい人たちがきっといるはずなのに。
ターミナルの中の古びたベンチは、人を別れさせるためにある。
誰に会うにも縁でしかなんだけどな。
誰に対しての優しさなんだろう。
やってきたバスに乗り込んだ。
のどかな田舎道を、数人のお客さんを乗せてバスは走った。
やってきたのは三沢の郊外にある大きなイオンモール。
このイオンモールの横に高速道路の乗り口がある。
行く先は…………岩手。
ルート変更だ。
秋田と山形には悪いけど、雨が降り出したらとんでもないことになる。
ここは早いとこ東京に戻って車で行動することにしよう。
高速ヒッチならば、下手したら今夜中にでも東京につけるかもしれない。
あぁ、早く車に乗りたい!!
今日の目的地は岩手の北上市。
北上に会いたい人がいる。
その人にメールすると、おー会おうぜー!と返事が返ってきた。
まぁ北上までなら3時間もあれば着くので余裕っす、夜また連絡しますね返して、ブリブリ余裕かましてフードコートでチャンポン食べて、昼過ぎからヒッチハイク開始!!
3時間後。
鬼の形相で親指をたてる愚か者が1人。
こ、これはヤバイ………
北上に着けないぞ………
しかし焦れば焦るほどまったく止まらない。
ぬぅ!!ここは場所が悪い!!
しかしやる場所はここしかない!!
うぅ、どうしよう…………
3時間半をこえたところでキエエエエエ!!!!と雄叫びをあげそうになったところをギリギリ我慢。
荷物をまとめて最寄りの駅まで歩いた。
こんなところじゃダメだ。
もっと郊外の一本道まで行かないとつかまらない。
下田という駅までは地味に遠かった。
古びた住宅地を抜け、田んぼの横を通って川の土手を歩いた。
このタイミングでキャリーバッグのタイヤが壊れてしまい、ちゃんと転がらなくて腕が痛くてたまらない。
汗が身体中から吹き出てくる。
なんでもない道。
なんでもない家並み。
なんでもない電信柱。
僕の故郷も、なんでもない町だ。
人の暮らしはどこにでもある。
僕がこんな住宅地を歩いて、土手を歩いていること自体、すでに奇跡なのかなぁ。
遠ざかるほどに、近づいていくみたいだ。
苫米地という夕焼けが似合う小さな駅で降り、目の前に走っている国道ですぐに親指を立てた。
わずか5分で車が止まった。
乗せてくれたのは巨漢の男性で、エアコンがガンガンにきいていた。
営業マンということでお話が上手く、会話も途絶えない。
こういう車に乗れると本当にラッキーだと思える。
「いやー、大学生のころにプロレスにはまっててねー。あ、そんな本気のやつじゃないよ。お笑い要素の強いやつ。面白おかしく実況したりしてね。おーっとキマったパイルドライバー!!しかしあれはまったく効いていません!!なぜなら頭がマットにぶつからないようにお互いが気をつけているからです!!とか言ってね。爆笑だよ!!ハハハ。」
そんな楽しいドライブはあっという間で、すぐに青森県と岩手県の境にあるコンビニに車は止まった。
おじさんは乗せてくれただけでなく、僕のCDと本を買ってくださった。
今日1日、まったく進めなくてげんなりしていたけど、最後にこんなご褒美があるなんてな。
サディストさん!ありがとうございました!
それからまた1時間くらい夜ヒッチをやってみたが、こんな真っ暗な中で止まる車なんてあるはずもなく、諦めて歩いた。
この岩手県との県境は本当に山の中だ。
外灯もない真っ暗な山道。
そこをぼんやり歩いた。
車が走ってきては、ヘッドライトが僕を照らし出す。
ドライバーからしたら、こんな民家もほとんどない暗闇の中に突如人間が現れるんだからビックリするだろうな。
足元も見えないくらいの暗闇。
バッグのタイヤが回らない。
汗が流れて、手がしびれる。
闇に溶ける。
月もない闇に。
まるで深いほら穴の中みたいに、ひとりぼっちだ。
いい感じだ。
いい感じのところで職質を受けて、パーキングスペースで横になった。
北上の友達にメールをした。
「ごめんなさい………今夜ダメでした……明日には必ず………」
「いいよー。今どこ?」
「三戸です。今職質を受けました。」
「全然進んでねぇ!!ウケる!!」
ゴロンと横になって夜空を見上げる。
いい気持ちだ。
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夏真っ盛りの8月ですね。
死ぬほど暑いですね………
そんなスーパー暑い中、波打ち際でビーチイベントをやります!!
ビーチでコロナビールを飲みながらギター弾いて、旅の話して、波打ち際で水をかけあって、やだー冷たいー!!ってなってムキになったところで女の子が態勢をくずしてこけそうになってすかさず手をつかんで優しく抱きとめてストップザシーズンインザサン。
や、やべぇ………想像しただけで……!!!
なんでもありません。
★日にち………8月23日(日曜日)
★場所………お台場海浜公園シーリア前
★時間………16時 ~
★お代………お気持ち
★出演………プロギャンブラーのぶき、たっくんコドナの落書き、金丸文武
お台場のビーチで夕日を眺めながら、コロナビール。もちろんカットライムをイン。
のぶきさんのトーク、たっくんのライブペイント、僕の弾き語り。
てなわけでこの夏、みんなでコロナ飲みながら暑い旅の話をしましょう。
カリフォルニアのビーチにはコロナが最高にマッチしていた。
みなさん、予定空けといてください^_^!!