2015年11月18日(水曜日)
【愛媛県】 松山市
ジャンジャカジャーン!!!!
ジャンジャカジャーン!!!
「………あへぇ!!!あ、朝になっちまった…………」
ほとんど眠れないまま朝になり、体を起こした………
うぅ……眠い………
歯磨きをしてジーパンとトレーナーに着替えて、一階のリビングに行くと豊田さんが起きており、トーストを焼いてコーヒーを淹れてくれた。
「ほな頑張ってな。」
豊田さんに見送られて車に乗り込む。
頭にタオルを巻いて気合いを入れてアクセルを踏んで、昨日教えてもらった道順を走っていく。
労働なんて……ひ、久しぶりすぎる…………
俺ちゃんとできるかな………
4年の間ずっと音楽と旅しかしてこなかった俺がいきなり造園屋さんとかなんの冗談ですか?
うう、緊張する…………
ていうか道が混んでてなかなか進まない。
朝の通勤ラッシュで田舎の道路はそこそこ混む。
時計を見ると時間は8時15分。30分には来てねと言われていた。
豊田さんは10分もあれば着くから心配いらないよと言っていた。
お世話になる成瀬造園屋さんは豊田さんの学生時代からの腐れ縁の友達らしい。
なのでかなり融通がきくというのはわかるんだけど、いきなり遅刻なんて剪定バサミで眉毛全部もっていかれてもおかしくない。
初日なんだから15分前には到着したかったのにーー!!!!!!!
いやあああああ!!!!また信号ひっかかったー!!!
なんとか5分前に到着。
雨がバシャバシャ降りしきる中、言われていたハウスに向かうと1人のおじさんがすでに作業していた。
今回お世話になるお仕事のボスである坂本さんだ。
「じゃあこっち来て。やること教えるからね。」
ハウスの中に入ると、手袋を渡された。
「じゃあまずはこのケースにこの袋を差し込んでいって。」
「ガッテンでござる!!」
まるで童貞がコンドームをはめるかのごとき鬼のスピードで袋を差し込んでいく。
「それじゃあ次はケースをこの機械にセットして。ヘラで土を均等に入れて、綺麗に詰め込んだらボタンを押す。」
「ガッテンしょうちのすけ!!」
まるで女の子の背中を優しく、時に激しく抱き寄せるかのごとくヘラを使って土を入れていく。
「土を均等に入れてボタンを押したら機械の棒が降りてきて土に穴を開けるから。そしたら取り出してここに積んでいって。」
「ここに積むんですね!!ヨッコイショウイチ!!!」
まるで女の子の敏感な部分を全神経を集中して触れるか触れないかくらいのソフトタッチで触りつつ、油断したところをいきなり少し強めになでる戦法で機械のボタンを押す!!
「それからこの穴に杉の苗を植え込んでいくんだけど、これはまだ早いから慣れてきたら教えるね。」
「自分カスなんで大事な仕事はパイセンにお任せします!!」
「じゃあ、苗を植えたケースがこっちにあるから、そこにこの白いやつを4つずつ入れていって。」
「ブラジャー!!」
まるで女の子の耳たぶを指先で転がして、なんならハムハムしながら、どうしてこんなになってるの?とささやきつつ頭をナデナデして恥ずかしがるあの子にお水を飲ませてあげて、いきなり体から離れてじゃあ買い物行こうかーって身障者トイレからこっそり出ていくっていう僕頭おかしいと思いますか?
白い玉を入れ終えたら、こうして外の鉄パイプの上に整然と並べていく。
これが一連の流れになる。
どうやら造園屋さんの中でも、現場に出る人は決まっており、俺はハウスの中で苗を植えるという作業に回してもらえたようだ。
大きな石を運ぶような作業はないみたい。
「これが杉で、こっちがヒノキ。忙しい時期になったらおばちゃんとかが来て大人数で作業するんだよ。」
まぁ、優しい坂本さん。
丁寧に仕事を教えてくれ、たまに旅のことや音楽のことに話を振ってくれる。
もちろん仕事の手を休めることなく、黙々と作業する。
袋を入れ、土を入れ、ボタンを押し、白い玉を4つずついれていく。
他にも、土がなくなったらミキサーの中に一袋の半分を入れ、何かの肥料を500の配分で入れ、ヌカをふた掴み混ぜ、さらにバケツの水を2杯入れる。
といった工程も教えてもらい、3日間だけのバイトとはいえ、覚えることはそれなりにある。
間違わないように、そしてスピードを上げていく。
ハウスの中にはNHKラジオが響いている。
休憩時間にはコーヒーとお菓子を出していただけ、無事お昼を迎えることができた。
コンビニにでも何か買いに行こうかと思ったら、社長の成瀬さんがやってきて3人でご飯に行くことに。
「さーて、旅の話を聞かせてもらおうか。」
坂本さんと成瀬さんもまた学生時代からの同級生で、豊田さんと3人でよくマージャンをやって遊んでいた仲よしメンバーとのこと。
みんなそれぞれのことを家族のように知っており、とても仲がよさそうだ。
「セイゴ(豊田さん)はマージャンが卑怯でなー、あいつとやると勝てんからもうやめたんやわ!!」
地元の同級生っていいなぁと思いながら美味しいお昼ゴハンをご馳走になった。
午後はそれなりに作業の手順も覚えて、スピードを上げて土を入れ、白い玉を入れる。
坂本さんが苗を植えるスピードに合わせて、何が足りないか、何を優先しないといけないかを考えながら動き回った。
バタバタと雨がハウスを打ち、NHKラジオをかき消す。
ラジオからはフランスのテロ事件のことを繰り返し報道している。
アナウンサーは外国為替や株価の金額を何度もニュースで喋っており、そんなに何度も読み上げるほど外国為替が重要なのかと不思議だった。
そして17時になり、無事1日の作業が終わった。
泥のついたトレーナーをはたき、腰を伸ばす。
結構疲れた。こりゃ明日は身体中バキバキだなとお茶を飲む。
詳しい金額は書かないけど、これでもらえる日当はまぁ一般的な現場作業員と変わらない。
むしろ8時半出勤なのでかなりいいほうだ。
でも、路上をやっていたら?
稼げる町だと1時間で稼げる金額だ。
海外でもそうだったけど、腰を据えていれば路上パフォーマンスは普通のサラリーマンよりも稼げる。
では仕事なんてやってらんないと思うのか?
当たり前だけど、そうは思わない。
路上は稼げる町もあれば、稼げない町もあるし、今週みたいにずっと雨続きだったらまったく路上に出ることもできない。
旅をしていればなおさら天候に左右される。
世の中の大多数の人が、会社に勤め、毎日働いている。
俺もそれなりに人生の時間を音楽に費やし、練習して磨き上げてきた。
だから音楽で得られる収入に必要以上にへりくだるつもりもない。
みんな一生懸命働いてる。
熱意の差はあれど、貴重な時間を割き、大事なものを守るために働いている。
よほど人の道から外れてなければ金を稼ぐことに貴賤はない。
人の仕事にケチをつけてはいけない。
必ず何かの役にたってるんだからな。
ふぅ、疲れた。
次のライブは三重県!!!
松阪市!!!
三重のみんなー!!名古屋のみんなー!!
遊びきてえええええ!!!!
とびきり不吉な夜になること間違いなし!!
だって対バンはこの人だもの………
【ザ・弾き語りライブ】
★2015年12月6日(日曜日)
★三重県松阪市 『音楽屋 tak楽ki』
★チケット1000円
★14時半オープン
★15時 1部スタート
・小池洋也
・もみじ
・瀬古祐介
・ゆうきまん
・こうのひろなり
★17時 2部スタート
・剛兵太
・金丸文武
よろしくお願いします!!!