2015年10月10日(土曜日)
【宮城県】 石巻市
目がさめると9時。
あー、もうイクゾーは今頃現場で重いもの運んでんのかー、真面目だなーと思いながら、とりあえず日記書き。
俺といるとき、イクゾーはもう今日はいいじゃないですかー飲みましょうよー、って言ってたけど、今じゃ休みもなく働いてるんだな。
日本にはカジノないからあいつも散財しなくてすむだろ。
いや、パチンコあるな………
いつかイクゾーにプロギャンブラーのぶきさんを紹介しよう。
さて、お風呂に入ったりコインランドリーで服の洗濯をしたりして、ひたすら日記書き。
他の作業がひと段落したので日記もかなり追いついてきた。
なるべくリアルタイムでブログも更新したいんだけど、人と会うと書く時間がなくてどうしても遅れてしまう。
そして最近アメブロの投稿がどうしてもやりにくくて他のブログに引っ越ししてやろうかと考えています。
現在たくさんのかたがこの僕のアメブロアカウントを読者登録してくれていたり、お気に入りやブックマークに登録してくれています。
他のブログに引っ越すということはそれらの読者さんを切り離すことになってしまう。
これまでずっと応援してくださったかたにはすごく申し訳ないことなんだけど、来年から色々と計画していることがあってどうしてもこのままのアメブロでは不安があるんだよなぁ。
もし引っ越すことになったら、今まで読んでくれていた方たちに着いて来てもらえるよう、ちゃんと案内しよう。
長い文章が心置きなく更新できるように色々と準備していかないとな。
夜になり、僕とイクゾーが石巻にいるということを知って仙台からわざわざ阿部さんが会いに来てくださった。
仙台でいつもお世話になっている阿部さんファミリー。
子供たちみんな元気かなぁ。可愛いんだよなぁ。
ところで話変わるんですけど、みなさんの地元で天津飯って何色ですか?
ご飯に卵焼きを乗せてそこにアンがかかってるやつ。
あのアンの色です。
あれ、僕の地元では薄茶色です。
醤油ベースですからね。
そんなの当たり前やん?って思うみなさん。
これ見てください。
赤いです。
天津飯のアンが赤いです。
ケチャップベースなんです。
は?赤くて当たり前やん?って思うみなさん。
僕らの地元では薄茶色なんですよ。
西日本では薄茶色、東日本では赤色、みたいです。
まぁもちろん全部そうではないんですけどね。
東日本でも醤油ベースの天津飯はありますし。
でも西日本では赤い天津飯はほぼないよなぁ。
味はどちらも美味しいんですけどね^_^
付き合った彼女の作る料理に地方色があると嬉しかったりしますよね。
「わー!小林イクゾーだー!!動いてるー!!」
「あ、どうも、チュッす、イクゾーっす。」
ご飯を食べてから阿部さんをイクゾーの旅館に連れて行って紹介し、阿部さんはすぐに仙台に帰っていった。
イクゾーも今夜は職場の先輩たちと飲まなきゃいけないとのこと。
イクゾーたちはやっぱりみんなで行動しているから1人だけ飲みに行ったりするとあんまりいい顔されないそうだ。
イクゾー、大人やってるね。
てなわけで今日はいつものように1人で飲み屋街に向かった。
ギターを持って昨日の立ち飲み屋さんに顔を出すと、今夜もたくさんの人で賑わっていた。
あらー!なかなか来ないから今夜はやらないのかと思ったわー!と喜んでくれるママさんとお姉さん。
お客さんたちも俺の話を聞いていたみたいで、おー!やれやれー!と笑顔を向けてくれる。
のだが……………1人めんどうな人がいた。
カウンターで飲んでた兄さんなんだけど、見るからに荒くれ者っぽい雰囲気で、口調もかなり乱暴。
言葉は悪いけどチンピラみたいな感じで、いかにも喧嘩っ早そうだ。
しかもかなり酔っ払っていて、すぐに俺に絡んできた。
「おー……オメー歌うのが!?よし!ホラここで歌え!!ここで今すぐ歌えよ!!歌えねぇのか?ダメだそんなんじゃよおー!なんのために歌ってんだ?」
石巻は漁師町。漁師町の男は気性が荒い。
これは結構当たってて、港町の繁華街で路上をやってるとかなりの確率で乱闘に遭遇する。
酔っ払った人たちは見境なく喧嘩をふっかけてくるので、今まで歌ってて何度も巻き込まれたりしたもの。
でもその分、そういった危ない状況や面倒な酔っ払いを回避したりなだめたりする技術は磨かれた。
今回絡んだきたのもなかなかにタチの悪い兄さん。
うー、こりゃ面倒くせぇなぁ………
向こうは舐めてかかってきてる。
だいたいこうなると演奏したって、なんだそれ?この下手くそが!!そんなんじゃテレビになんか出られねーよ!俺の知り合いの弟のやつはなぁ東京でメジャーでうんたらかんたら、っていう知り合いを持ち出したどうでもいい話が始まってけなされてお終いってのがいつものパターン。
手を出されるとことはあんまりないけど、さすがにイラついて口論になって取っ組み合いってのも何度もある。
憂さ晴らしのいい相手だよな、路上で歌ってるやつなんて。
「おらー!早く歌えよー!なんだ出来ねぇのか?つまんねぇ野郎だな!俺はよぉ、ヤクザとか嫌いなんだよ?◯◯組とかなんぼのもん?って感じよ。」
「はいはい、お兄さん、気にしないでいつものようにやってね。」
ヤクザがどうとか、チンピラにありがちなことを言ってくるのをお店のママさんがなだめてくれ、なんとか引き剥がしていつもの路上でギターを出す。
チューニングをしているといきなりギターが引っ張られた。
なんだ?と思ったら、後ろからさっきの酔っ払いチンピラがギターのヘッドに巻いているバンダナを引っ張っていた。
ニヤニヤしながら見てくるチンピラ。
おのれー………と思いながらも愛想笑いでなんとかこらえる。
あー、面倒くせえ。
どうせこれで歌ってもけなされて終わりだろうなぁ。
でもなんとか歌で黙らせてやりたいよなぁ。
最近こうして絡まれることもなかったので密かに闘志がわいてくる。
まぁ俺にできるのは精一杯の歌を歌うだけだ。
そしてチンピラが目の前にドスンとアグラをかいて、あご肘ついて挑発的な表情で見上げてくる中、丁寧に歌った。
曲が終わる。
するとチンピラがいきなり立ち上がってどこかに無愛想に歩いていった。
あー、よかった。
まぁ気に入らなかったにしてもどっか行ってくれてよかったわ、と思っていたら、またチンピラ戻ってきた。
やめてくれよもう………とげんなりしていると、そのチンピラ、小脇に抱えた紙袋から何かを取り出して差し出してきた。
焼き芋だった。
「おう、もっとやれや。」
またドスンと目の前の地面にアグラをかいた。
歌うと、目をつぶりながら、あぁー、いいなぁ、いいじゃねぇか、と言っている。
そして数曲聞いて、いいもん聞かせてもらったわと千円を置いて去っていった。
あれを乗り切れた。
俺成長したなと思った。
そっからはもう大フィーバーだった。
通りかかる人のほとんどが足を止めてくれ、みんなが褒めてくれ、お金がどんどん入った。
静かな曲を歌うと、横でスナック帰りのおじさんが見送りの女の人と一緒に聞いてくれ、クソー、泣かせやがる、と目を拭きながら2千円を置いてくれた。
スナックのママさんたちも、周りの居酒屋のおばちゃんたちも出てきて、この町にいい歌が流れて最高にいいことだわーと言ってくれる。
フォークがウケるのは50代くらいのおじさんたちだ。
お爺ちゃんお婆ちゃんは演歌。
40代はニューミュージックからバンド系。
若者はコブクロとかゆず。
チャラいギャルはエグザイル系。
っのがだいたいの好み。
これをやって欲しがる。
でも今日は何やってもウケた。
グリーンやってよー!と言ってくる若い兄ちゃんたちに出来ませんと言うと、じゃあ何でもいいからやって!と言われる。
ここでフォークを歌うと、いつもなら納得いかなさそうに去っていくけど、今日は、いやー!いいわー!と千円が置かれる。
立ち飲み屋さんもたくさんのお客さんが入り、絶えずリクエストが入ってくるので休憩もできずに歌い続けた。
そして今日は喉の調子がバッチリだった。
しばらくして立ち飲み屋さんも閉まり、周りのビルの電気も消えたんだけど、それでもお客さんに囲まれておりなかなか止められなかったが、キリがないので強引に切り上げた。
いつの間にか夜中の1時半になっていた。
みんな、笑顔だった。
いい路上ができた。
俺も少しは成長してると思う。
そう考えると、全然ダメだバカ野郎!!帰れ帰れ!!って今まで言われてきたムカつくやつらの言葉も、それがあったから成長できたんだよなと思えた。
あの悔しさがあったから音を外さないように努力したし、リズムを崩さないように努力した。
上手いだけじゃねぇか?それが歌だと思ってんのか?心がねぇんだよ!!って言われて、言葉に気持ちを乗せることを意識したし、その技術を追求した。
もちろんまだまだ。
まっだまだ。
もっともっといい歌うたうぞ。
そしていい旅するぞ。