2015年10月4日(日曜日)
【岩手県】 北上市
高校生になって美々津という過疎の田舎から隣の日向市に高校に行くようになると、美々津というところがどんだけ田舎なのか思い知った。
たかが日向市。
今思えばめちゃ田舎なんだけど、信号機がほとんどないような港町からしたらすっごい大都会です。
市内の中学校からやってきた同級生を見ると、まぁシティーボーイのシティーガールたち。
美々津は田舎、そんな風に思われていたのが若干悔しいって気持ちもあり、一生懸命オシャレしたり悪ぶってみたりした。
幸い美々津は歴代通してヤンキーの少数精鋭部隊みたいな地域だったので、怖い先輩がいて色々可愛がってもらえた。
高校に入ったら当時のみんながそうしていたように俺もバンドを組んだ。
エレキギターを買って練習し、友達の増田君と一緒にバンドでギターを弾いた。
増田君とはリードパートの奪い合いみたいなことをしていたけど、俺は俺でアコースティックギターの弾き語りもしていたので、あっという間に増田君に追い越され、俺も素直にリードギターを譲り、ボーカルを担当するようになった。
演奏していたのはだいたいエアロスミスとかガンズアンドローゼスのハードロック、ビーズもミスタービッグもやったし、アイアンメイデンとかハロウィンとかのメタル系もやった。
だいたいバンドをやるやつらイコール不良ってイメージがあって、そんな危ない雰囲気に憧れるところも学生からしたらおおいにあると思う。
でも実はその当時バンドをやるような奴らって結構オタクなところがあって、リーゼントでバイク乗り回してケンカ三昧、ライブでアンプぶっ壊して暴動、みたいなそんなもん一切なく、みんな行儀がいいっていうかむしろシャイ。
ちょいと不良のやつらは当時流行っていたメロコアをやっていた。
バンド=不良。
これって今でも残ってるのかな。
少なくとも俺らの世代ではまだ先生とか親からはそう思われていた。
じゃあそのイメージを作ったのって誰?
横浜銀蝿とかかなぁ。
ダウンタウンブギウギバンドとかキャロルとか。
リーゼントでトッポくきめて、あの子抱きしめてランデブー的な。
80年代にはそうしたロックンロールスタイルがもっと激しくなったネオロカってのが流行った。
ストレイキャッツみたいなイケイケのロカビリー。
日本だとブラックキャッツ、キャデラック。
この辺りはもう完全にヤンキーの人たちの音楽ってイメージ。
40代でロカビリー好きって人たちはだいたい今でもトッポイ。
それとはまた違ってさらに過激になったのがパンク。
それこそアンプ投げてギターで人ブン殴って、豚の頭投げて、客にオシッコかけて、殴り合いでライブ強制終了みたいな。
そりゃ世間も不良と思うわ。
でもこのパンクスとロカビリーの不良ってだいぶ人種が違うような感じがする。
何が違うってよくわかんないけど、なんとかなくパンクは生真面目な感じ。生真面目すぎてイカれてる。歌詞とかすごい文学的だし。
とにかく、バンド=不良のイメージはこの80年代辺りで頂点に達したんだと思う。
今日はそんなならず者たちが大集合したイカしたライブだった。
昼前に銭湯に入ってさっぱりしてからライブハウス『カプカプ』にやってくると、すでにたくさん人たちが集まってバーベキューをしていた。
うわー、今日もガラの悪い人たちが多いなぁ。
タトゥーまみれだなぁ。
町で見かけたらすごい勢いで目をそらしてそそくさと通り過ぎる系だなぁ。
ねー^_^
彼がギター1本でストリートライブして世界一周したやつだよーとマスターのゲンさんがみんなに紹介してくれる。
「へー!そうなんだ!すごいですね!危険なこととかなかったんですか?」
顔面凶器の小沢仁志みたいな人たちなのに、みんなとても腰が低い。
だからなんだコノヤロウ?半殺しにしてやろうか?なんてことを言ってくる人は誰もいない。
ちなみに小沢仁志のブログのタイトル知ってますか?
顔面凶器のひとり言、です。
まじウケる。
てなわけで早速ライブスタート!!
1番手はカプカプのマスターであるゲンさんと奥さんのバンドフレンチマスタード。
奥さんがメインボーカルでチンドン屋をやりながらさらにトランペットを吹く。
ゲンさんはウッドベースをバチバチにスラップ。
アコーディオンとかマンドリン?だったかな、とにかく色んな楽器で構成されているんだけど、すっげえ一体感があってカッコいい。
フォーキーだったり、ロックンロールだったり、音頭みたいだったり、軍歌みたいだったり、とにかく楽しくて熱くて面白い、なんでもありって感じの音楽。
マジセンスの塊だわ。フレンチマスタード。
最後は奥さんとゲンさんのお決まりというウッドベースに駆け上がってのトランペット吹きまくりスタイルで終了。
いやー、いきなりレベル高っ!!
その後もバンドありつつ、弾き語りもありつつでライブは進み、俺の出番に。
かなり緊張するけど、俺は俺のやれることをやろう。
どれどれ、といった雰囲気の中、ばちあたりもんを思いっきりぶちかましたら、怖そうなお兄さんたちがカッケェじゃん、と拍手してくれた。
弾き語りでもバンドには負けねぇぞ、そんな気持ちでギターをかき鳴らしていた20代の頃の気持ちを思い出した。
アンコールもいただけて汗だくで終了。
投げ銭たくさんいただけました!!
みんなありがとうございます!!!
バーベキューのところにひときわガラの悪い人たちがいたんだけど、どうやらその人たちもバンドマン。
どんな音楽なんだろうと思いながらライブが始まると、一気に会場の空気が爆発した。
ど正統派ロカビリー!!!
山形から来ているバンド、シュリッツ。
もー、ノリノリ。
え?これで何踊るの?ツイストに決まってるじゃん?それ以外ある?っていう正統派のロカビリー。
普段はリーゼントらしいんだけど、今日はみんな帽子をかぶったりしていた。
乗せ方が上手い!!!
否が応でも体が動くわ!!
弦を切りながら大盛り上がりで最後の曲が終わり、もちろんかかるアンコールでやってくれたのはロックディスタウン。
ストレイキャッツの代表曲で会場のボルテージマックス。
タトゥーだらけの兄さんたちが狂ったようにツイストしている。
いやー、ロカビリー楽しいなぁ。
ライブも終わり、今夜はマスターのゲンさんの家に泊まらせてもらえることになり、みんなで打ち上げへ。
みんな先に居酒屋に入っていて、俺たちは遅れて行ったんだけど、店員さんに「ガラの悪い席はどこですか?」と尋ねたらすぐに案内してくれた。
一目瞭然ですよね………
ロカビリーは不良の音楽。
みんな若い頃は木刀振り回して暴れてたらしい。
仙台にも有名なロカビリーのライブハウスがあるらしいんだけど、ゴロツキばっかりでマジでヤバいらしい。
そんな恐ろしい人たちの音楽。
でもロカビリーは難しい。
あれをあんなに弾きこなすには相当な練習がいる。
真面目で素敵な不良たち。
お前の手を引き、今夜だけのランデブー。
俺もがんばろ。