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Channel: 金丸文武 3年で出来ること
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友達のタイトルマッチ

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2015年8月28日(金曜日)
【兵庫県】 大倉山










ついに試合の日がやってきた。




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今回関西に来た目的はたくさんあるけど、その中で1番の目的。






それが友達のタイトルマッチ。






それを見るために、神戸に着いた。

















ボクサーの友達が、28日に神戸で試合をやる。



タイトルマッチ。



しかも東洋太平洋。







つまり、勝ったらアジア最強の男という称号が手に入る。











友達の村田君は東洋太平洋のライト級2位。


ここ最近、上り調子で試合に立て続けに勝ち、どんどんランキングを上げてきていた。


その様子をFacebookで見ながら、調子良さそうだなと思っていた。


そしてついに掴んだタイトルマッチ。

チャンピオンに勝って、ベルトを奪い、アジア最強の男になる。






ボクサーの誰もが憧れるその栄光の舞台。







ほとんどのボクサーが、その舞台に上がるための切符も手にできないままボクシングをやめていく。



その中で村田君は切符を掴んだ。






勝つしかない。






どれほどの重圧か。






自分が今まで費やして来た時間。


体に与えてきた苦痛。


代償となってきたもの。


応援してくれる人たちの期待。





それを考えると、観に行くだけの僕でさえ、胸が苦しくなってくるほどのプレッシャーを感じる。





村田君。


今、試合前の彼がいただいている渇望。

全てを吸い込みそうなほどに乾きながら、満たされているのかもしれない。
ありとあらゆる感情の渦で。

僕もステージに立つ人間だから、少しはその感覚をイメージできる。















村田君はライト級。

今回の減量ではかなり絞ったみたいだが、コンディションには影響ないだろうか。



ボクサーの減量がどれほど過酷なものか、漫画とかでしか見たことないけど、まぁ気が狂いそうなほどなんだろう。




トマトひとつをかじり、ウィンドブレーカーを着て何キロも走り、サウナに入って極限まで汗を出す。

でももう出る水分がなくて、サウナの中で唇がカサカサになっている。




そんな状態で戦えるのか?っていつも思う。










俺も今から村田君を応援しに行く身。


少しだけでも村田君の苦しみを共有しながら会場に向かおう。




飯抜きだ!!!














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油ギトギトオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!




















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さて、中央体育館にやってまいりましたよゲップ。


今日は全部で6試合で、村田君は最後の試合ですゲップ。シュウマイとライスつけなきゃよかった。








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会場は手作り感満載の普通の体育館。



なんかラスベガスみたいなド派手な会場を想像していたけど、実際はタイトルマッチでもこんな簡易的な雰囲気なんだな。



そう、そんな僕はボクシングの試合観戦、初めて。

テレビでは好きでよく見るけど、実際に会場に来るような機会に恵まれるなんてな。



ちなみに値段は立ち見なら3000円。椅子ありなら5000円。

立ち見でリングサイドまで行ける。






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まぁ、会場に来てる客のヤンキーとギャルの割合。




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ラウンドガールがJS。



















前座の試合もそれなりに見応えのあるもので、バンバンKO決着が飛び出すエキサイティングなもの。


初めての生観戦なのでそのパンチの当たる音とかがすごくリアルで興奮してくる。







前まで、テレビでボクシングを見ていて、あんな大きな綿の入ったグローブをしていたら全然痛くないじゃん、よほどちゃんと当たらなかったらダウンなんかしないよー、と思っていた。



しかし、数ヶ月前に村田君のジムにお邪魔して、村田君のミット打ちの相手をさせてもらった時に、そのなめた考えは打ち砕かれた。



お腹に大きなクッションを抱えてそれを殴ってもらったんだけど、あんな分厚いクッションの上からなのに内臓口から飛び出しそうなほどの衝撃だった。



それがものすごい勢いで右から左から予測不可能な動きで繰り出されてくる。


マジでお腹えぐれ飛ぶ。







クッションの上からであれ。


直にやられたら一瞬で泣いて帰る。



ボクサーの拳は完全なる凶器。

一撃で意識吹っ飛ぶパンチの応酬。

慎重にならないほうがおかしい。




情けねぇ試合してんじゃねぇよおおおお!!!!とかって外野は好き勝手叫ぶけど、やったことねぇやつが偉そうなこといってんじゃねぇよ、ってマジで言いたくなるだろうな。
















そしてついに、最後の試合になった。






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花道に村田応援団が集まった。




ドキドキが止まらない。

これから村田君は最強のチャンピオンと戦う。



10戦10勝5KO。



めちゃくちゃ強い。

めちゃくちゃ強い。





村田君も試合が決まった時から、このチャンピオンはマジで強いと言っていた。



パンチで人間を破壊できる男だ。


そんな危険な男と、リングという狭い空間で、1対1で殴り合わないといけない。



怖すぎる!!!!





しかしもちろん村田君も同じボクサー。

人間を無力化させるための技術を毎日毎日、寝食を削って磨き上げてきた。




ミット打ちを手伝った僕には分かる。

村田君のパンチも人間を破壊する力がある。








今思う。

あの時のあのパンチの重さ。





ズシンと、心に響く重さがあった。









はじめの一歩って漫画があるけど、その中で、あるチャンピオンがこんなことを言っていたのを思い出した。




「パンチは単純な腕力とか筋力で威力が決まるものではない。背負ってるものの重さが拳に乗るものだ。」














村田君の入場曲が会場に響き渡った。



途端に応援団から大歓声が上がる。





「いくぞ村田ああああああああああ!!!!!!!!!!!!」



「いくぞおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」




周りのみんなが声の限りに声を上げている。

その声の、言葉の本気ぶりがすごかった。

心の底の底から村田君を応援している声と、みんなの瞳。



ぐっと涙がこみ上げてきた。





「村田あああああああああ!!!!!!!頼むうううううううううううう!!!!!!!」








大歓声の中、村田君が歩いてきた。


まるで躊躇がない。


なんの迷いもない、吹っ切れたスピードで、一直線にリングに向かう。



村田君はリングを真っ直ぐ見つめていた。




その表情。



やばかった。

あんなに覚悟を決めた男の顔、初めて見たかもしれん。
気迫がほとばしっていた。





あの敵に立ち向かう男の顔にはある種、悲壮感すら漂っていた。



マジで鳥肌がたった。








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ゴングが鳴った。


打ち合う2人。


どちらも慎重な立ち上がりで、村田君のジャブがチャンピオンの顔をとらえる。



パンチがあたるたびに応援団から歓声が上がる。

どんな小さなパンチでも歓声が上がる。




ボクシングはこうやって応援する、といった常連さんたちのかけ声。












チャンピオンは確かに強かった。

コンビネーションも早いし、パンチもかなり重そうだ。



しかし、第1ラウンドはお互いにクリーンヒットもなく終了。






そして第2ラウンド。

このラウンドは完全に村田君のラウンドだった。



ジャブだけでなく右も当たって、応援団は声を枯らして大歓声をあげた。


チャンピオンも赤い顔をして、苦戦の表情をしていた。





ゴングが鳴って、コーナーに戻ってくるとき、そのラウンドの手ごたえに、村田君は手を上げて叫んだ。





俺やるぞ!!というアピールを応援団に向けてくれた。




もうみんな涙ぐみながら叫ぶ。






「やるぞおおおおおおおお!!!!!!」


「チャンピオンなるぞおおおおおおおおお!!!!!!!」






ドキドキが止まらない。

ずっと胸がつまるような苦しさだった。














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第4ラウンドになってから様子が変わった。


村田君の動きが急にキレがなくなった。



チャンピオンのパンチが村田君をとらえる。

ガードはできているものの、あんな殺人級のパンチを浴び続けたらダウンしてしまう。





「ナイスガードーーーーーー!!!!!!!」



「気持ちだよおおおおお!!!!!!気持ち強くうううううううう!!!!!!」





劣勢は変わらず、村田君は片目をつぶりながら戦っていた。



片目が開いてなかった。


苦痛に顔を歪めながら、片目だけを開いてパンチを受けていた。



なにかあったのか。









しかし第5ラウンドも、村田君は片目をつぶりながら戦っていた。

まだ全然諦めていない。


審査員の判定はすでに大差がついていた。











いける、絶対にいける。




パンチが当たりさえすれば、ダウンを奪いさえすれば、戦況は一気に変わる。






村田君は27歳だ。ボクサーとしてはギリギリの年齢なんですよと、前回会った時に言っていた。


ボクサー人生がいつ終わるのか、それは本人にしかわからない。



人生をかけてやってきたことが、何かの形を残すこと。

なにかの形となって、評価されること。







チャンピオンになれば。

チャンピオンになれば、全てがきっと報われる。




周りの人たちの期待に応えられたと思える。






村田君。

いける。必ずいける。


パンチを出してくれ。




















第5ラウンドが終わり、コーナーに戻った。


その時、ドクターがセコンド陣に近づいて村田君の目を見た。


え?なにが起きてるんだ?





ふいに、レフェリーが手を振った。


ゴングが鳴り、チャンピオンが飛び上がってコーナーに駆け上がった。



















え?なにが起きたんだ?















応援団は言葉もなく静寂に包まれている。












信じたくない、という思いがあまりに強くて、現実を受け入れられなかったんだと思う。




村田君はコーナーで椅子に座ったまま動かなかった。










「……………ナイスファイトーー!!!!」



「ナイスファイトオオオオオオオ!!!!!!」



「よくやったぞおおおおお!!!!!!」





みんな想いは一緒だった。

信じたくない。でもその辛さを1番感じているのは間違いなくリングの上にいる村田君だった。





ナイスファイト、その言葉を言うことが辛かった。

でもみんな胸を引き裂かれそうになりながらナイスファイトと叫び続けた。
















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何事もなく浮かれる週末の神戸の盛り場、東門。


誰もが楽しそうにネオンの下にいた。







村田君がこれからどういう選択をするのかはわからない。

27歳でタイトルマッチを落とした彼の心。






後から知ったことだけど、試合中に片目をつぶっていたのは、チャンピオンのパンチによって眼窩底骨折を起こしていたからだった。

即手術が必要なほどの骨折。



それなのに村田君はあのチャンピオンの猛攻に2ラウンドも立ち向かい続けた。









絶対に諦めない心。

それを彼は見せてくれた。








スポーツは結果が全て。


でも、僕の心には強烈にあの姿が焼きついている。







村田君、勇気もらいました。


あれほどの男の顔、一生のうちにそうは見られん。




本当にありがとう。


最高にイカしてた!!!!!!






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