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Channel: 金丸文武 3年で出来ること
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生きてます!!

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2015年4月4日(土曜日)
【北海道】 札幌市









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北大病院の廊下は、病院独特の暗い静けさというよりは喫茶店の静けさに似ていた。


広々とした談話スペースにたっぷりと差し込む日差し。

患者さんとお見舞いの人たちがドトールコーヒーを飲みながらお喋りしている。



大学病院っていうと、重病の人たちが入るようなイメージだけどそうでもないのかな。


白い巨塔みたいに教授たちの派閥があって、患者たちが研究材料にしか使われてなかったりするんだろうか。










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11階という高層マンションみたいな景色の部屋に遠藤さんはいた。

きつそうにベッドに横になっていた。



「おー、わざわざありがとうね。昨日どうだった?」



「楽しかったです。遠藤さんはどうですか?」



「んー、熱は下がったんだけどね、1回入るとどうしても10日間から2週間は出られないんだよね。」





遠藤さんは彫り師さんだ。

彫り師さんってのは彫り師さん同士で挨拶代わりにお互いの絵を相手の体に彫るという習慣があるらしく、遠藤さんの体にもびっしり入っている。

日本の病院の中ではきっと色眼鏡で見られてしまうだろうな。



「スガ先生にも伝えているけど、予定通り動いてや。今夜一緒に行けなくて残念だよ。あー、行きたかったなぁ。」







先日、遠藤さんの家に着いたその夜。

地下室の遠藤さんの部屋でお話をしているときに部屋に流れていた音楽があまりにもカッコよかったから聞いてみた。



「いいしょ?これ。桑田ケンジっていうんだ。友達なんだけど、札幌のやつだから会ってみるといいよ。」




トムウェイツみたいなしゃがれたダミ声、トムウェイツみたいな孤独で路地裏の湿り気がある優しい言葉、トムウェイツみたいな素朴でノスタルジックなガットギター。


とにかく日本のトムウェイツって言ったらマジで完璧、この人しかいないっていうレベルの歌だった。


ど痺れた。

もちろんただのモノマネじゃない。
曲も詩もマジでヤバイし、経験に裏打ちされた個性がある。

感性がヤバイ。





あんまり自分から特定の人に会いたい!!ってなるほうではないんだけど、一瞬でベタ惚れしてしまって、是非会いたいと思っていたところ、なんと偶然にもこの土曜日、つまり今夜に桑田さんの出演するライブがあるというではないか。



それを旭川にいる遠藤さんのバンドのボーカルであるスガ先生に話したところ、行きます!というフットワークの軽さを見せてくれ、今夜みんなで行く予定だったのだ。


そしてスガ先生も今夜は遠藤さんの家に泊まり、明日一緒に富良野経由で帰りましょうということになった。




完璧な計画!!



だったのだが………入院で遠藤さんは行けなくなってしまった。

むしろ俺が来たことで負担をかけてしまったんじゃないかと思うと責任を感じずにはいられない。




「ほんと、気にしないで予定通りやってね。俺もDSで街づくりのゲームやっててハマってるから暇しないし。」





また明日出発前に来ますと伝え、病院を後にした。

やっぱり遠藤さんの人間としての相手に与える影響力ってのはすごい。


それは相手のことをよく見抜き、的確に相手の感情や状況を理解する洞察力と、そして人生経験がものを言ってるんだと思う。



稚内のライブハウスを紹介してくれたのも、札幌のベガーズハーレムを教えてくれたのも、桑田さんをさりげなく聞かせてくれたのも、みんな遠藤さんだ。




あの人に会えて本当によかった。





















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病院を後にし、二日酔いでふらふらしながらやってきたのは現在札幌で不動の人気を誇っているという有名ラーメン屋さん。

エビでダシをとったエビラーメンとのこと。


あんまり濃いのは食べたくないので、あっさりの塩ラーメンを注文した。






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器には大量のエビの天カスみたいなものが乗っかっている。

悪くはない。でも行列作るほどではない。


ていうか行列並んで食べたラーメンは美味しさが薄れる気がする。

期待が高まるからかな。


まぁ、最近はエビラーメンって流行ってるみたいだからよそのもそのうち試してみよう。





が、そんな気持ち、30分後に吹き飛んだ。










ママチャリをこいで帰る途中、なんだか息苦しかった。

二日酔いがひどいところにラーメンなんて食べたので胸やけしてしまったかと思い、早いところ遠藤さんの家に戻って少し横になろうと寄り道せずにペダルを踏んだ。



そして本当に倒れそうになりながら、なんとか家に戻り、遠藤さんのいない地下室で横になったんだけど、なにやら顔に鈍い痛痒さが出ているのに気づいた。


な、なんだこれ………



最初はダニかと思った。

カナダとアメリカで2ヶ月近く悩まされたマダニの恐怖が蘇った。


どっかにくっついてきたダニがやりやがったか………




しかしどんどん息苦しくなり、首も熱をもってきた。



な、なんだこれ?と思って鏡を見て驚いた。



顔がボコボコになっていた。

首にも大きな虫刺されみたいな湿疹ができており、見るもおぞましいことに。



エビだ…………





僕はアレルギーはない。
今まで一度も甲殻類でアレルギーなんか出たことないし、卵でも猫でも花粉でも、なんにもならない。


しかしどう考えてもさっきのエビラーメンだった。



この息苦しさも気管も腫れているからだ。




頭がクラクラしてきて立ってられなくなってきた。




遠藤さんの奥さんが喘息の吸引機を渡してくれ、それを吸ってベッドに横にならせてもらった。

アレルギーでダメなんですよー、っていうセリフは今までよく聞いてきたけど、まさか自分がこんなことになるなんて。




こりゃダメだわ………



マジかよ……………


ていうか一幻、もう二度と行かない……………



















夕方に音楽友達がここにやってくるはずだったのだが、あまりの苦しさに起き上がれず、ようやく落ち着いてきてベッドルームから出ると夕方の18時になっていた。


鏡を見ると、どうやら腫れも引いて気管の苦しさもほとんどなくなっていた。



よかった………あんなんじゃ外出歩けないところだったよ…………
















玄関の外にはスガさんの車が止まっており、シャッターを開けると、あの頃のままの柔らかいスガさんが待ってくれていた。



スガさんは旭川の小学校の先生であり、最高にカッコいいロックシンガーでもある面白い方。


個性的で、コミカルで、でも知的な曲を作るんだけど、それをバンドメンバーである遠藤さんがアレンジすると最高にイカしたリフロックに昇華される。


ステージでのパフォーマンスも凝りまくっており、とにかく北海道で俺が大好きなミュージシャンというわけだ。




「金丸さんー!よく無事で帰ってきてくれましたー!!」




僕の曲にも刺激を受けます、と言ってくれるスガさんと今でもお互いにインスピレーションを与えあえるいい関係でいられていることが嬉しかった。

















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そんなスガさんと一緒にやってきたのは、札幌の郊外にある澄川という駅の近くの焼き鳥屋さん、TMC。

なにやら昔から札幌のディープな音楽ファンたちが集うお店として有名なアングラスポットみたい。


焼き鳥屋さんなのにそんな名前なんて面白いもんだなと思いながら店内に入ると、たくさんの人で座る席もないほどに賑わっていた。




今夜はこのお店の10周年記念パーティーとのこと。

その記念パーティーのライブで、今最高に注目している桑田ケンジさんが出演するということでやってきたのだ。








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お店は決してライブハウス仕様ではない。

店の一角を強引に演奏スペースにしたようなラフな雰囲気だ。

みんなお酒を飲みながら常連話に花を咲かせている。









曲が終わると異様なほどに盛り上がり歓声が飛び交い、酒が酌み交わされる。

MCはこの焼き鳥屋さんの歴史にまつわるものがほとんどで、どれだけこのお店が常連さんたちに愛されているのかがわかるものだ。

たくさんの地元のミュージシャンたちがつどっており、いかにも音楽やってます的なファッションの人がたくさんいた。







1番手はマタタビ団、2番手はリュウジバンド。このリュウジバンドが最高だった。



そして万を辞して登場したのが、札幌に入ってからウルトラ惚れているあの桑田ケンジさんだった。









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はい、カッコよすぎる。



ただのガットギター1本。



しゃがれ声と孤独な歌詞。


トムウェイツの世界そのものであり、独自の世界を作り上げている。



こんなカッコいいシンガーソングライター、久しぶりだ。









全曲聴き入ってしまい、ライブ後はわざわざ僕たちのところに来てお話ししてくださった。

聞けばこれまでかなり破天荒なドラマみたいな人生を送ってきて、今ようやく子供もできて札幌に落ち着いているという。


お話しの内容も、アーティストとしてとても深くて頭フル回転させていないと理解できないような抽象的なもの。



いやー、刺激もらった。


あまりにも素晴らしくて、自分のやりたい音楽がこれ、とは悔しくて言いたくないけど、それほどいい影響を与えてもらった夜だった。


最高の出会いをもたらしてくれた遠藤さんに感謝。



桑田さん、また北海道でお会いしましょう!!








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