2015月3月16日(月曜日)
【福島県】 会津若松 ~ 喜多方市

「あんれまぁ、ワカコちゃんに似てんだぁ。」
「そうだぁ、ワカコちゃんだなぁ。」
「ほれ、優しい顔してっからぁ。」
斎藤さんの家は昔ながらの酒屋さんで、いつも近所の人たちが集まってきてお店の中でお酒飲んだりお菓子食べたりしておしゃべりする憩いの場になっている。
年季の入った棚や商品のポスターは完全に昭和で時の止まったままだ。
そんな爺ちゃん婆ちゃんに混じってお茶をすする。
僕のことをさっきからワカコちゃんに似てると繰り返してるお婆ちゃんたち。
ワカコちゃんに会いたい。

会津若松の名物、ソースカツ丼。
食べたのは「なかじま」っていう人気店。
もっと観光客向けの有名なお店もたくさんあるんたけど、斎藤さんに聞いて地元の人が食べに行くお店にしてみた。
うん、濃厚で美味しい。
こりゃまた食べたくなるな。
でも千円はちょっと高いけど。
今夜は群馬の音楽仲間、スーさんが紹介してくれたお店で歌うことになってる。
ライブバーとかではなく、フォーク好きが集まってジャカジャカやってるアットホームな居酒屋だというふうに聞いている。
どんな曲をやろうかなぁと考えながら、面白いとこに連れて行きますよという斎藤さんと今日も街の散歩に出かけた。

やってきたのは斎藤さんの家の近くにある普通の民家。
しかし奥に入っていくと、凹んだ先に玄関があり、そこに会津もめんという暖簾がかかっていた。
この敷地の奥が迷路みたいにいくつも建物が入り組んでいる作り。
時代劇そのものといった様子で、さすが城下町と驚いてしまう。
しかし驚いたのはそのあと。
ドアを何個かくぐって中庭を突っ切って奥に入っていくと、そこにはもめん織りの工場があった。



もう大興奮。
完全に骨董品レベルの、博物館に飾ってあるようなアンティークの織機がバッタンバッタン!と音を立てながら布を織り上げていた。
何台もの機械が規則的にシャトルをとばして動き、天井に回されたベルトがぐるぐると回転している。
この道50年みたいなお婆ちゃんが、手慣れた様子でシャトルの糸を交換して糸の隙間に放り込んでまた機械を動かす様子は、NHKの白黒のフィルムで見た光景そのものだった。
こんな作り方をしてる場所がまだあるなんて!!



ガッシャン!ガッシャン!という大きな音に包まれた木造の工場の中、機械のあまりの美しさに時間を忘れて見入ってしまった。
古いものには時代を乗り越えてきたタフさと人間の知恵と実用美がある。

次に連れて行ってもらったのも、手作りの張子細工のお店。
会津の伝統工芸品である起き上がり小法師がいくつもカゴに入っている。
会津では新年になると家族の人数分の起き上がり小法師を買って家に飾るんだそう。
素朴な形、柔らかい表情がたまらなく愛らしい。
徳川御三家の城下町としての品格、そして現在も古いものがしっかりと息づいているその文化性の高さこそが会津の魅力なんだよな。
あー、会津は本当に旅を感じさせてくれる場所だ。
夕方になり、出発の時間になった。
先日、演奏できる場所をいろいろと探してくださったロックンローラー、ヤスさんが喜多方まて乗せていってくれることになり、ここで斎藤さんとはお別れすることに。
3日間も泊めていただき、ご飯をご馳走になって、色んなところに連れて行ってくださった斎藤さん。
もう、恩の返しようがねぇ………
斎藤さん、こんな言葉しか出てこないですが、本当に本当にありがとうございました。
またお会いしましょう!!


ロックンローラーでありレゲエマンであるヤスさんの車に揺られること30分。喜多方の町に到着した。
喜多方といえば白漆喰の蔵とラーメンと酒蔵。

ここもまたひなびた好きな町。
ラーメン好きには聖地のひとつでもありますね。
そんな喜多方のメインストリートから少し脇道に入ったところに居酒屋「海裕丸」はあった。
お店が何軒か並んだちょい飲み横丁といった雰囲気の路地にある味わいのあるお店で、店内に入ると大漁旗がドーンも目に飛び込んできた。
鮮魚店でもあるらしく、店内で魚が売られていて、買った魚をそのまま料理してくれるということもしてくれるみたい。
そんなお店でライブ!!



月曜の夜だってのに喜多方の音楽好きメンバーが集まってくれ、すごくアットホームなライブだった。
みんな客席から一緒に歌い、カホンを出してきて演奏に加わる。
会津弁シンガーの高畑さん、よかったなぁ。
やっぱ飾らない言葉はリアリティーがあるよなぁ。
「オメさいればなんにもいらねぇえ~」
いやー、よかった。
ライブが終わってからも、みなさんでお酒を飲みながら熱い話で盛り上がり、最後のシメはやっぱり…………
これだよな。


喜多方ラーメン最高!!!