2015年3月13日(金曜日)
【栃木県】 鬼怒川温泉 ~ 【福島県】 会津若松
世界をまわってる時、ずっと登録していた世界一周ブログランキング。
最近は日本一周カテゴリーのランキングに登録しています。
結構登録してる人いるんですね。
んで、みんなチャリとか歩きとか原付とかで日本を回っている。
つっても他の人のブログ全然読んでないですけどね。
そんな中、昨日チラッと流し見していたら、日本一周ランキングに思うこと、みたいな記事を書いてる人がいたんです。
その内容は、トップ10に入ってるような上位陣で実際現在旅をしてる人が2組しかいない、ということでした。
みんな、思い出を振り返ってたり、キャンプ場とかグルメのまとめ、写真をあげてるもので、実際旅してないからつまらない、って書いてました。
そうなの?と思って見てみたら、確かに旅をしている様子はないですね。
冬は旅人は動かなくなるらしいです。
ゴルフとか行くらしいです。
なにそれ?
冬に寒いとこ行くのが旅だよな。
世界一周ランキングでも何人かは、帰国してからの思い出振り返りブログを書いてる人はいましたが、もちろんほとんどが現在進行で旅してる人のものだった。
その臨場感が旅ブログの醍醐味だもんな。
ただでさえ日本国内。
それなのに思い出ブログ。
厳しい季節は行動しない。
そんなんじゃドキドキなんかしないよな。


そろそろ寝袋に湯たんぽを導入しようかと思い始めた鬼怒川温泉。
ああ、車があったらもっと僻地の野天風呂に行ってずっとあったまってられるのに…………
なんてボヤいても仕方ない。
今夜は金曜日の夜。
路上をするためにも今日中に会津若松までたどり着くぞ。

車道をぼちぼち歩いて、町から離れたところにあるボロい食堂に入った。
田舎の工事現場のおっちゃんたちで賑わう食堂であじフライ定食。
店内に飛び交うおっちゃんたちのしゃべり声に、色んな地方の方言がある。
みんな色んなところから流れてきた人たちなんだろうな。
山奥の飯場には慰安婦の出張があるってのは本当なんだろうか。


今日の一発目はちょっと苦戦してしまった。
線路と川に挟まれた道なので道幅が狭く、車が止まれるスペースがない。
ひたすら歩き続けていく目の前には雄大な山々が連なり、後ろからやってくるトラックが轟音をあげながら俺をかわして走っていく。
みんなガンガンに飛ばしているので、カーブの多いこの道ではヒッチポイントがなかなか見つからない。
少し強引にでもやってみるが、やはり止まらない。
もうヒッチを開始してから2時間も経ってしまい、夜までに会津若松に着かないといけないのに焦りが芽生える。
おいおい、こんな山奥で移動できずに立ち往生なんてシャレにならんぞ?
なんかあまりにも止まらなすぎて、不安になってきた。
このあたりの人たちってヒッチハイクを乗せてくれない人たちなんじゃないだろうか………
いやいや、どこの地方だろうが人の性格なんてそんな変わらない。
鬼怒川の山奥だろうが、みんな一緒だ。
よおおし!諦めんぞお!!
栃木県の人たちーーー止まってくれえええええ!!!頼むううう!!!U字工事好きですからあああ!!!!
あ!!!止まった!!!!
レッカー車止まった!!
やった!!栃木県民さすが!!

まさかのパキスタン人。
「セラムアレイキュムー、私の名前はワカールですネー。よろしくネ!」
「アレイキュムセラム!!ヤベェ!!ワカールさんの名前わかーりやすいつって!」
「ブー!マジ受けますネ!!ていうかイスラム語分かるんデスカ?!」
「まじアレハンドレラ!!」
日本でお仕事しているワカールさん。
家族みんなで栃木に住んでたらしいけど、最近奥さんと子供たちはパキスタンに戻ったらしく、寂しい毎日なんだそう。
もう5年も商売できているということが、ワカールさんの人柄を物語ってるなぁ。
確かに穏やかで頭がよさそうで、笑顔が素敵ないい人だ。
しかし最近はやはりイスラム国のせいで肩身の狭い思いをしているそう。
そりゃ仕方ないわなぁ………あんなことがあったら…………
パキスタンを含めたイスラム諸国の観光客は激減して大変なことになってるらしい。
そんなワカールさんとの楽しいドライブ。
栃木県を抜けて福島県の会津地方に入ると、一気に景色が様変わりした。


なにこれ?
湖凍ってるんですけど?
3月ですよ?
ぬおお………やっぱり東北だなぁ………
こっから先は本気で気合い入れていかないとな…………
様変わりしたのは雪だけではなく、民家の作りにも表れている。
この辺り会津地方に入ると、曲がり屋というものが増えてくる。
昔、馬などの家畜がいる時代、雪が多いので、家畜も屋内で生活させていた。
その家畜用のスペースがくっついた作りになっているのが曲がり屋で、ちょうどL字の形になった民家がまだ残っている。
それとキノコみたいに大きな屋根がかかった、日本昔話さながらの民家も多い。

茅葺屋根の民家が主流だったので、そうした作りが多いのだが、現代ではその茅葺の上に板金をかぶせた家がほとんどとなっている。
時代は変わっていくものだが、今でも大内宿など、茅葺の江戸時代みたいな集落がポツポツと点在しており、たくさんの観光客を集めている。
走る車の中から会津地方の風景を眺めていると、昔の若かった日々が思い出されてふと切なくなってしまう。
会津は本当に、旅をした、といえる場所だった。



「会津若松の食べ物だったら、棒ダラ、ニシンの山椒漬け、小づ湯、イカニンジンとかが有名だべっしゃー。あとは酒だ。」
ワカールさんには会津田島まで送ってもらい、そこからは一発で会津若松行きをゲット。
公務員のおじさんと名物なんかのお話をしながら、なんとか夕方には会津最大の町、若松に到着した。
話ではこの3日間で季節外れの大雪が降ったらしく、若松の市内でさえ雪が地面を覆っており、車が雪の上を走っていく。
こ、これで野宿とかなかなかハードじゃねぇかコノヤロウ……………
と、いつもなら呆然とするところだけど、若松には知り合いがいる。
先日の東京でのライブに来てくださったおじさんがいつでも泊まりにきてくださいねーと言って下さっているのだ。
いつもならご迷惑にならないかな……と考えるところだけど、今日は1ミリも躊躇なし。
歩けないくらい足元が雪でぐちゃぐちゃになっているのに野宿とかバカでしかない。
若松着いた瞬間にソッコー電話をかけた。
そうしてすぐに迎えに来てくださったのは、お酒屋さんの斎藤さん。
斎藤さんも若い頃から東南アジアを中心に色んなところを旅している方だ。
「1週間でも10日でも好きなだけいていいですからねー。ライブ出来るような場所も知り合いに聞いていますから。」
ぬおぅ!斎藤さんありがとうございます!!!
というわけで斎藤さんのお家に荷物を置かせてもらい、寝床を確保してテンションがあがり、このままハナキンの夜に路上かますぞコンチクショウ!!と勇んで飲み屋街へ!!
オラァ!!久しぶりの会津若松!!歌うぞーーー!!!!

ただの豪雪。
うわぁ、すっごい雪だなぁ、
楽しいなぁ、ギターケースがどんどん白くなっていくなぁ、
ムートンのブーツが雪でぐちゃぐちゃになって足が超絶冷たいなぁ、


歌えるわけねぇ。
ぬおおお…………もう歓送迎会シーズンだから、こんなドカ雪でも結構人が歩いてるのに歌えない…………
マジか………東北このまま北上していけんかな…………
ほどよく絶望しながらも、なんとかして歌える場所はないもんかと、雪まみれになりながらネオン街の中を歩き回っているところだった。
知らない番号から電話がかかってきた。
「どうもどうもー、金丸君?斎藤さんから教えてもらったんだけど、歌える場所探してるんだべしゃ?会おうよー。」
どうやら斎藤さんが紹介してくださった方で、若松で音楽関係の知り合いがたくさんいるヤスさんという人だった。
斎藤さんが紹介してくださった方なので、もちろんお互い何にも知らない。
それなのにこの雪の中わざわざやってきてくれたヤスさんとコンビニで合流した。
「いえーい、ヤーマン。まぁちょっくら散歩しようよ。」
なにやらレゲエが好きな方と斎藤さんからは聞いていたが、拳を突き合わす挨拶から始まって確かにレゲエ好きなお兄さんみたいだった。
そんなヤスさんとザクザク雪を踏みしめながらやってきてのは、裏路地にあるロックバー、マギー。
シェフの白衣の下からユニオンジャックのロンTがのぞいてるようなマスターがやってるゴリゴリなロック好きのお店って感じで、壁にはたくさんのライブのチラシが貼られていた。和気優とか来てるみたいだ。
一杯だけさっと飲み、次に晴屋(ハレルヤ)というお店へ。
こっちは完全なるレゲエバーで、ラスタカラーとゆったりしたリズムが漂う店内でおっちゃんたちが賑やかにしゃべっていた。
なにやらヤスさんと色々お話していると、この会津はかなりレゲエが盛んらしく、さらに世界一周をしてきた人とか東南アジア、インドにどっぷりといったディープな人たちなんかがたくさんいるみたいだ。
そして1番驚いたのが、なんと世界一周ブログランキングで僕と同じ時期に旅をしていたあの方がこの会津若松に住んでいるというではないか。
そう、数ある炎上ブログの中でも、僕とカツオさんともう1人、というくらいに個性的で攻めるブログを書いていたあの人。
ジーナリンさん。
うおお!!会いたい!!
ジーナリンさんのご両親が若松で飲食店をやっているらしく、斎藤さんがちょうど昨日ジーナリンさんにお会いしたんだと言っていた。
ちょっぴりエッチなブログでランキングを賑わしていたあのジーナリンさん。
ここは九州男児として漢を見せる時ではなかろうか。
会津若松には3日ほど滞在する予定なので、そのうちにお会いしてエッチなこと言って恥ずかしがる顔とか見たいと思います。
嘘です。

そんなディープな町、会津若松。
大好きなこの町をどれだけもっと好きになれるか。
懐かしの銘酒を流し込むと、一気に体が東北に色を変えるようだった。


清らかな純米の匂い。
しんしんと冷える外は雪の夜。
東北に入ったぞ。