【治験3日目】
深夜の2時に採血とか勘弁してほしいです。
爆睡してるところでゴソゴソってされて腕から血が抜かれてゴソゴソっと去っていく。
もう起きる気にならないでされるがままです。
夜にいたずらされる女の子の気持ちが分かりましたね。
はいはい、勝手にしてと。
な、ないもん!!そんなことしたことないもん!!
こっそりおっぱい揉もうとしたら、いきなり目を覚ましてきて、付き合うの?と真顔で聞かれたことなんてないもん!!
こっそりおっぱい触ってマジで寝続けてる女の子なんていませんよね。
100パー起きてるので高校生のみんなは気をつけてね。
朝の採血後に留置針が抜かれ、この日は検査も少なく自由時間の多い日だった。
隣の兄ちゃんはタフを全巻読み終えて違う漫画に移っている。
食事はコンビニかホットモットの弁当が多く、不満はない。
午後になって入り口からドヤドヤと私服の男たちが入ってきた。
奥の部屋に入っていく。
どうやら別の治験のグループらしい。
そこまで広くないフロアーに40人以上の成年男子がひいしめいている状況。
今まで自分たちのグループだけで快適に使っていたフロアーに新しい男たちがやってきて若干息苦しい。
看護婦さんは歯磨きや食事が別グループ同士でバッティングしないようにキチンと時間を割り振ってくれている。
こんなことを感じている時点で、たった3日でまったく口もきいてないのに不思議な連帯感が生まれているという集団意識に気づいた。
おかげでだいぶ編集に集中することができ、イスラエルを終えてエジプトのダハブまで終わった。
ここから怒涛のアフリカと西ヨーロッパ。
このあたり濃厚だなぁ。
書きながらダハブがぶわーっと思い出されて行きたくてたまらなくなった。
文章を読んでると、ダハブにたどり着いた時の喜びが溢れんばかりに伝わってくる。
辛かったもんなぁ。東ヨーロッパと中東、キツかった。
張り詰めた毎日からいきなりの天国。本当最高だった。
ダハブはまた行きたい場所のひとつだなぁ。サンレストランのみんな元気かなぁ。
相変わらずセックスするダハブ、の名に恥じない合コンタウンなのかなぁ。
ゾロさん、ダハブヤバいから楽しみにしといてくださいね^_^
僕もゾロさんのブログでダハブのことを読むのが楽しみですよ。
あれですね。最近、楽器を持って世界一周してる人たくさんいますけど、みんな稼げる先進国ばかりに滞在しててなにひとつ面白くないですね。
まあみんな旅の期限なんてないみたいだし、え?なんでわざわざ貧しい国で演奏しないといけないの?非効率じゃん、てなとこだろうけど。
そんな中でゾロさんがインドネシアに入ってバリ島で頑張ってますね。
稼げない、しかも貧しい国によくある警備員のストップ。
嫌になってもしょうがないところだろうけど、それでも活路を見いだそうと工夫しながら歌い続けている。
別に貧しい国でやる必要はない。
あの辺だったらオーストラリアとかシンガポールであら稼ぎして、貧しい国はノンビリ回ればいい。
それが効率的だ。稼ぎ的にも時間的にも。
でもそんなことばっかりやってたら全然面白くないけどね。
音楽は稼ぐ手段であり、出会いの手段でもあるんだから。
そんなゾロさんがこれからどんな旅していくか楽しみだなぁ。
そんなことを考えながらダハブの編集を終え、夜の21時半に薬を飲んだ。
とうとう新薬の投与が始まった。
これからこの薬による人体への効果を測っていくんだろう。
目の前で血圧を測っている。
斜め向いの兄ちゃんはいつも血圧か低いのだが、今日もいつものように看護婦さんに注文を出されている。
「なにか考え事をしてくださいねー。」
「足をバタバタしてみてー。」
俺はいつも正常だ。
心電図も採血でも、何も注文を出されたことはない。
健康をありがたく感じる年齢にはまだ早いよな。