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Channel: 金丸文武 3年で出来ること
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福島、閉鎖されていた危険区域の実態 ③

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なぜこんな南相馬みたいに小さな町に来たのか。

それは国道6号線を走るためだ。



地震以降、福島原発の影響でこの国道6号線は寸断され、完全に通行止めになっていた。


いわき市から南相馬市までの間が通れない。


おかげでぐるーっと迂回して4号線に出ないといけなくなっていたので、かなり不便だった。




しかし不満を言ってる状況ではない。

原発事故によりこのエリアは完全なる死の町となり、人々はみんな避難していなくなった。


まさにゴーストタウン。あってはならない禁断地帯。


以前震災後にこのあたりに来た時、国道6号線は警察の検問によりゲートが設置されて入れなくなっていた。





しかし現在、この立ち入り禁止区域だった国道6号線が一時的に開通しているということを現地の人に聞いた。


これは行くしかない。

話では。車を停車してはダメ、窓を開けたらダメ、などの注意事項があるらしいが、確かに通ることができるみたいだ。


走り抜けるだけ。それが条件。




よし、行ってみるぞ。







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南相馬市から6号線に乗り、ほんの少し走っただけで道の脇に廃墟が多く見られるようになった。


地震と津波の爪痕がくっきり残ったズタボロの廃墟。


他の県ではこうした残骸はほとんどが撤去されているが、この福島エリアはまだ手つかずといった様子だ。






すると、道路の横に小さな見張り台のような場所があり、そこにお巡りさんが立っているのが見えた。


そこを越える。



そこからがゴーストタウンの始まりだった。











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見た目はいたって普通の町だ。

どこにでもある国道沿いの風景。


吉野家とか、すき家とか、ファミリーマートとか、ガソリンスタンドとか、パチンコ屋とか、


風景の町。



そこに人がいない。


すべてが廃墟。



壊れてはいない。

まったく新品のお店もある。


しかし人が消え去っていた。






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ハンドルを握る手に少し汗がにじむ。


オーディオの音楽を消す。



ここは帰還困難区域。放射線に汚染された場所だ。

そんな中にいるのかと思うと、いくら通行が許されているとはいえなかなか気持ちが悪い。


このなんの変哲もない、いつも過ごしている大気中に見えない毒が巻き散らかされている。


それはこんな車の窓ガラスくらい簡単に浸透するタチの悪い毒だ。






この放射線は自然界にも微弱に存在している。


人間が1年間に浴びる自然界の放射線量は、2400マイクロシーベルト。つまり2.4ミリシーベルト。


そして一般的に言われている、人体に影響がない放射線量の上限は200ミリシーベルト。つまり0.2シーベルト。



そんな数値なんて普段気にしてないのでピンとこないけど、福島の人たちはすごく敏感だ。
みんなある程度の数値を把握している。


そこで福島の除染作業をしている人たちの現状なんだけど、0.2シーベルトが限界値と一般的に言われる中で、彼らが知識としてもっている限界値は1シーベルト。

これくらいなら大丈夫だろうという認識を持っているみたいだ。



しかし、彼らはいつも放射線量の累積を測る機械を胸につけて作業しているんだけど、恐ろしいことに、いつも通りの作業を続けていたら1年経ったころには3シーベルトに達するペースになるんだそうだ。


話になんねぇ!!






除染作業は危険な仕事だ。

だから賃金もかなりいいみたい。

そのため日本中から作業員がやってくる。


話では相当ガラの悪いヤクザ崩れみたいな人も少なくないという。

家族もいない、将来のことなんてどうでもいいやー、っていう命知らずの人たちからしたらすごくいい職場ではあるだろうな。







国道6号線から横に入る脇道は全てバリケードで閉鎖されており、中に入ることができなくなっている。

大きな交差点にはゲートが設置されており、警察がバッチリ立って目を光らせている。


しかしその警察たちは、いつもテレビで見ている除染作業員のような宇宙服を着ていない。

防護服を着なくていいのか?

普通の服装で、せいぜいマスクをしているくらいだ。



俺たちには車を降りるな、窓を開けるなといいながら、彼らはこうして何事もないかのように生身で外に立つ仕事をしている。


一体何が本当なのかわからなくなる。









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この風景は確かに悲惨だ。

もはやこのゴーストタウンに人が戻ってこられる日がやってくるのか。


何年先か、何十年先か。

故郷を追いやられた人たちの悲しみはとても大きなものだろう。







でも、ちょっと思う。

この辺りの町の人は、原発による恩恵をだいぶ受けてきた。

東電や国から落ちるお金で人々の生活はめちゃくちゃ潤っていたはずだ。


こんな東北の田舎町でありながら、昔からアパートの家賃やその他の物価は東京並みに高かったらしいし、夜の飲み屋もかなりいい値段がしていたらしい。


さらにそうした夜のお店に行くと、スーツを着ているよりも、東京電力のジャンパーを着ていたほうがモテたという。

東京電力を略して、東様、東様と呼ばれていたそうだ。


町に原発を一基作れば何億という金が町に落ちる。
だから町長さんもガンガン誘致していたそうだ。



もちろん反対していた人たちもたくさんいたとは思うけど、そんな町長さんを選ぶのも町の人たちだし、実際に恩恵を受けてきたのも事実。

長年そうした原発の蜜をすすってきた。









そして今、町はゴーストタウンだ。


まるで覚せい剤をやりすぎた後の廃人のように。



自業自得とは言わないが、避難民の人たちが未だ避難先でパチンコに行ったりして地元の人たちと軋轢があるのはよくわかる。

避難民たちには今も莫大な補償金が支払われている。






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次、きっといつかまた地震は来る。

プレートの上にいる地震大国なんだからそんなのわかりきったこと。

だから福島原発のようなことが起きた。


なのに、なのにまだ原発を再稼働させているとか、もはや人間の考えることよくわからん。








ゴーストタウンを駆け抜ける。

いつかここは世界遺産になるだろうな。負の。

もはやなにかの遺跡のように、人の手から離れた寂寞があたりを支配していた。



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