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Channel: 金丸文武 3年で出来ること
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カリブの不思議な夜 後編

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photo:01



船は南国ムード漂う村の桟橋に着いた。



うお!!海が!!海が青い!!

すげー透明度だ!!



そんな透明な海にいくつもの船が浮いており、荷下ろしをするたくましい人々が忙しそうに行き交っている。


俺たちも桟橋に降り立ち、荷物をかつぐとすぐに兄ちゃんたちが群がってくる。

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ホテルはこっちだよ!!

イミグレーションはこっちだよ!!




客引きなのかただの親切なのか。
悪いやつらではなさそう。

カリブ海の入り江にひっそりと佇む秘密の村。
人々はノンビリと木陰でビールを飲んでいた。

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港の周りにはお土産物屋さんが並んでいる。
そしてたくさんの白人観光客の姿。

プエルトオバルディアでは見なかったリゾート地の景色。

でもその町並みはどこまでもひなびている。

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馬車がパカパカと通り、裸の子供が元気に走っており、南国の植物が空を覆うように茂っている。

海は真水のように澄んで、絵葉書のような小舟が揺れている。


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ああ、ここは楽園なのか?
地獄の果てにたどり着いた楽園なのか?

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お土産物屋さん通りの並びに、小ぢんまりとした建物があり、そこがイミグレーションになっていた。

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さてコロンビア入国だぞ。






すでに楽園気分になっているけど、コロンビアは入国の際にフライトアウトのチケットの提示を求められる国。

みんなダミーチケットを用意してイミグレーションに臨むそうだけど、俺たちは何もしていない。


こんなどローカルな国境ならそんなチェックはないだろうと踏んでいるからだ。


そして俺たちの予想通り、係りのお姉さんは俺の顔をチラと見ただけで一瞬でスタンプを捺してくれた。







photo:11



ここからコロンビアの大都市、メデジンに向かうためには、まずはトゥールーボという地方都市に向かわないといけない。


手段はもちろん………船ですよね。




もう嫌だあああああ!!!
船乗りたくねえええええ!!!



でも話によると、ここカプルガナからトゥールーボへは大きな旅客船が出ているという話だった。

デッキでタバコが吸えるような大きなやつだろう。

もう波しぶきでびしょ濡れになることもない。






photo:12



ここカプルガナを離れて内陸へ向かえば、もうこの旅でカリブ海を拝む機会はなくなる。

そして地獄の船旅をしてこんな僻地にまでやってくることなんてもう一生ないだろう。

ていうかもう一生あんな船乗りたくねぇ。



というわけでこの楽園で1泊することに。
カプルガナは素通りするにはあまりにももったいなさすぎるこの世の果ての楽園だ。





みんなで手分けして探したところ、宿の値段は10ドルが相場。
安くて7ドル。

そしてケータ君が4ドルのところを見つけてきた。







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ほ、ほう…………

なかなかのジャングルクオリティですな………


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湿った監獄みたいなベットにはもちろん蚊帳がかけられ、シャワーは当たり前に水オンリー。



そして宿のママからなぜかロウソクを渡される。



ほう?このロウソクをどう使えと?




まぁこの文明からかけ離れた宿に泊まるのもまたカリブの僻地の楽しみ方だよな。











荷物を置いて村を探検。

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探検という言葉がしっくりくる、ジャングルと共生した村だ。

人々の素朴な生活を眺めると、時が止まったような感覚に陥る。

その感覚が欲しくて文明国の人間は何もない僻地に向かう。


陽気なバーの兄ちゃんからビールを買ってあおると、たまらなく生きてる感じがした。

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俺の地元の美々津には綺麗な砂浜がある。
なので久しぶりの砂浜に大はしゃぎで、泳ぎまくった。

photo:19




もうパワー全開ではしゃぎ回るなんてこの歳でなかなかやることじゃないけど、やっぱり楽しい!!


はしゃぎすぎてこんなのも書いてみる。

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じゅんちゃん、カリブの海にいつか行こうね。

船以外で。

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夕方になり、カリブ海に夕闇が訪れる。

たまらなく胸が苦しくなる水平線。

パームツリーが揺れ、世界から取り残された村に明かりがともる。






真っ暗になったころに宿に戻り、シャワーを浴びたり海水でびしょ濡れになった服を洗濯したりしていると、突然電気が消えた。



真っ暗になった。


停電か。



あー、だから宿のママはロウソクを渡してきたのか。

それだけ停電がよく起こるってことなんだ。




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ロウソクに火をつける。

ゆらゆらと揺れる炎の影が部屋を照らす。

なんだよこの南国の夜の怪しい冒険は。
たまらないドキドキさせてくれるな。











こうなることを見越して、隣の欧米人で賑わっているバーではエンジンを回して自家発電をして電気をつけていた。


晩ご飯を食べにそのお店の行き、みんなでテーブルを囲む。

photo:23








潮騒が夜の闇から聞こえてくる。



ザザザー、ザザザー、



ビールで乾杯をすると夜風が吹いた。
貝殻を無数に天井から吊るしており、それが風に揺れてカラカラカラ………と音を立てる。





カラカラカラ………


ザザザー ザザザー


カラカラカラ………






ふと明かりが消えた。



ここもまた停電したみたいだ。

もはやこの忘れられた漁村から明かりがなくなると、広大な闇の中に村は沈んだ。



光がなくなると、目が慣れてきて水平線が見えた。
暗い海にかすかな線が引かれている。


満天の星がまたたき、ここが遠い地なのに世界が繋がってることをそこはかとなく感じた。



カラカラカラ………

ザザザー ザザザー





生きることの虚しさ

コールタールの海に浮かぶ小舟

裸電球の月がぶら下がって

新しい季節へいざなう



カラカラカラ


ザザザー ザザザー



真っ暗な中、ビールをあおった。

カリブの不思議な夜に。






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